出世しないおじさんのための社会課題解決

出世しないおじさんのための社会課題解決 その①「WHY」編 価値観を変えれば人生はもっと楽しくなる

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

景気が右肩上がりに伸びていく時代はとうに終わったし、そして誰もがある程度までは偉くなれる時代も、たぶん終わった。
偉くなったらなったで責任だけは増えて、給料はそれほど大きく変わらない、そんな話もよくある。でも、ある程度の年齢になって役職のひとつもないと、それはそれで辛いモノがある。収入はともかく、まわりの目が気になったり、上司が同期や年下だったり、なんとなく軽んじられているように感じる。そんな経験を繰り返していると、だんだんと仕事もつまらなく感じてくる。

結局のところ、幸せの感覚なんて自分次第だ。
足るを知るという言葉もある。食うに困らないだけで十分とはいえる。でも何かが満ち足りない、まだまだやれるという思いもある。
そう、もちろんあなたはまだやれる。あなたの力を必要としている人たちがそこにいるのに、あなたはまだそのことに気づいていない。

社会課題解決と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか?
SDGsって最近よく耳にするな、とか、ボランティアとかNPOとかそんな人たちがやっているようなことかな、とか、そんな感じかもしれない。
SDGsで示されている貧困問題や子どもの教育、平等に生きる権利、環境問題などを、基本的にはソーシャルセクターと呼ばれるNGOやNPOのような非営利組織がボランティアの手も借りながら解決していくという世界だ。

引用:リクルートワークス レポート2019 個人のキャリアを豊かにする
企業の社会貢献活動より

リクルートの調査によると、会社以外にボランティア団体など、もうひとつの所属先がある人は自分のキャリアについて前向きで、自己肯定感が高いということだ。

結局のところ幸せというのはかなり相対的だ。みんなが貧乏なら自分が貧しくてもそれほど気にならないが、ひとつの会社で自分だけ周りと待遇が違うという状況は辛いものだ。複数の居場所を持つこと、しかも、そこで自分が誰かの役に立っているという状況が作れるなら、それは多くの人にとって、とても意義深いものになるだろう。
できれば、そこに求めるのはお金ではなく知識や経験、地位ではなく達成感や自己肯定感の方が良いのではないかと思っている。ダブルワークで時間や労力を少しのお金に変えるより、自分を苦しめている思いこみから解き放つ機会にできるなら、残りの人生がはるかに充実したものに変わるかもしれない。

それと大事なことがもう一つ。社会課題解決は終わりのないチャレンジであるということだ。
ということは、取り組んでいる限り、一生成長できるということだ。
会社の論理でいくと、ミドル層に期待することは部下の管理、狭義のマネジメントか、一部のエリートに対しては経営感覚ということになりがちで、新しい事へのチャレンジやスキルの収得ということに縁がなくなってくる。興味の赴くまま本を読んだり、勉強会に参加したりといったことは若手のうちにやることとされ、その種の集まりに参加してもみんな自分より年下という状況になって参加しづらいという状況が起きる。

知的好奇心を満たすことを人生の楽しみにしていた人たちも、仕事と趣味の世界に境界線を引き、仕事は適度にこなすようになる。
しかし趣味の世界のチャレンジと仕事の世界のチャレンジはやはり違う。
人生100年だとしたら会社を辞めてからの人生も相当、長い。
社会課題解決の現場には、誰でも参加できるものから高度な知識、経験、アイディア、交渉力が必要なものまで、ほとんど無限と言っていいほどの可能性が広がっている。

プラスチックごみ

たとえば、海洋プラスチック問題と呼ばれている社会課題。
私たちの生活の仲でたくさん使われているプラスチックがゴミとなり、細かく砕けて最終的には海に流れ込み、これが有害物質を吸着したりしながら魚の体に入ることで海の生態系を崩すというものだ。
この対策として、川や海のゴミを拾うボランティアが至る所で募集されているのをご存じだろうか。


みんなで協力し、体を動かして、最後はたくさんのゴミ袋ときれいになった川や海という形で成果を感じられる。
参加するのは月に1回でも構わない。こういう活動に参加することでまず現場から社会課題を知ることができる。
どんなことでも最初に現場を見るのは大事だ。社会課題は基本的にこれまでどうしても解決しきれなかった複雑な構造になっていて、一度に全容をつかむのが難しい。だからまずは気楽に参加してみることが大事だ。
もし興味をもてそうなら、少しづつ自分なりに計画を立てて調べていくことで、さらに楽しむこともできる。
重要なのは、この時点のあなたにはなんらかの本業があるという事で、今踏み出している社会課題解決とあなたの本業は、かならずどこかで繋がっているということだ。

仮にあなたがメーカー勤務だとしよう。海に流出するプラスチックを根本的に解決しようとするならば、プラスチックの代替え素材が必要だ。
そしてそこには大きなビジネスチャンスがあるのだから、この分野に明るくなることで何かしらの提案をできるくらいになれるかもしれない。

もしあなたがサービス業なら、プラスチックのストローを違う素材のものに入れ替えるなど、直接的な対応の提案をすることもできるだろう。
このような提案型の、仕事を新たに作り出すという経験は定年後のキャリアにも影響をもたらしてくれる。
いずれにせよ、あなたの、これまでの社会経験を活かせる領域はたくさんある。
NPOの活動を手伝いながら、地域を変えて同じ活動をしてもいいし、本業で得た知識や経験を同業他社や異業種に展開するということも考えられる。

実は今もっとも求められているのが、これまで非営利組織が善意と献身で支えてきた社会課題解決の領域と、営利組織、つまりビジネスの世界をつなぐ人材だ。
最終的には、ここを担うことを目指す。それが本稿の提言だ。
そのひとつの区切りとして、定年があるだろう。
そこまでにあなたに残された時間を有効に、楽しんで、仲間を作り、人の役に立ち、少しづつでも世の中を良くして、いつか死ぬそのときまで命を燃やす。
あなたにはまだやれること、やるべきことがある。
まわりを気にせず、自分の使命を自分で決め、マイペースで一生、成長していく、そういうステージは、きっと誰にでも用意されている。

次回からは、様々な社会課題の紹介と、あなたが取り組むべき領域の見つけ方について紹介していきたいと思う。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

CAPTCHA